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2004.12.08

マルチ忘年会、ISPA、「風又」千秋楽ほか

 12月2日は恒例のマルチメディア文化課程忘年会。98年に一期生が入学してからずっと続いている。もう学部改組後7年半を過ぎ、スタッフも学生も今更学科に対する特別な思いは薄らいできているものの、それでも毎年100人近くが集まるこの会を迎えると少し感傷的になってしまう。昨年は佐藤東洋麿さん。今年は木下長宏さん、唐さん、梅崎さんとこの課程ができてからずっと支えてもらってきた人たちが相次いで辞めてしまうということになり寂しい限りだ。木下さんのスピーチで、思いがけずもっと後になって聞くことになるだろうと思っていた別れの言葉を耳にして、またしても泣いてしまった。ぼくがよく泣くというのが伝説になっているが、実際にはそんなにしょっちゅう泣いているわけではない。で、結局は終わった後もまた521で飲み会。去年も今年も学生と話すというよりも教員同士で論争になってしまっているが、それでも同じ場所に学生たちが居て、こうして同じ時を共有しているということが楽しい。これまでに何度こんなことがあっただろうか? 大学の教員をやっていて嫌なことも沢山あるが、こういう具合に沢山の人たちと同じ場所と時間を共有することはとても楽しい。
 4日は東京芸大で開かれているISPA(国際版画シンポジウム)へ。大学版画学会が開いているこの会議に関してはもう一年以上も前から、京都市立芸大の木村秀樹さんらから熱心なお誘いを受けていた。昔「版画芸術」という雑誌で「Printing the World」という連載をしていて、連載中はほとんど反応がなく寂しい思いをしたのが、終了後に面識のなかった沢山の人たちから「面白かった」という感想を頂いている。木村さんもその一人で、版画業界に全く詳しくないぼくに会議全体の「基調講演」を依頼してくれた。聴衆は150-200人くらいで外国人も多い。立派なプログラム+図録にも日英二か国語で掲載されているこの原稿は結構しっかり書いたので、近いうちにホームページ上にでも発表したいと思っているが、終わった後も何人かから話しかけられたのでまあ満足。全体的に版画業界の集まりなので、グローバル・スーパーマーケット化している世界の文化状況を批判したこの講演には、耳が痛い人も多かったかもしれない。しかし、こうやって「版画の未来」に関するシンポジウムが開かれている東京芸大や「東京都美術館」や「西洋美術館」に群がる「美術好き」の人たちと、上野公園に林立するホームレスの人たちのブルーシートのテント群の対照は衝撃的だ。隣接していながら、そのどちらもがお互いを「見えないもの」として無視し合っている。そのどちらもが、相手のリアリティを否定している。アートがすべきことはこの二つを結びつけることでなくてはならないのに、スーパーの商品棚の取り合いのようなことをしていたってしかたあるまいというような話をした。

 終わってから新宿梁山泊の「唐版・風の又三郎2004」の千秋楽。途中から降り始めた雨が激しくなって深夜には暴風雨になった。いろいろあったがこの集団は最後までよく駆け抜けたと思う。関係者の頑張りには心から敬意を表するが、やっぱり終わってみて言えることは、作品の出来から見れば昨年版の素晴らしさには及ばなかったということ。なぜそうなのかということについては、いろいろな角度から考えてみる必要がある。確かに「分かりやすくなった」「すてきだった」という観客も多いのだが、昨年のぎりぎりまでたわめられた何かが反発して爆発的な生命力が噴出するような舞台と比較すると、何か一番肝心なものがすっぽり欠落していたような気がしてならない。結局、芝居は戯曲と演出家と役者・スタッフのアンサンブルなのだから、そのどれかが欠けていたり、不十分だったりすると全体としてうまく燃焼できないということなのかと思う。個々の人たちが個別に頑張っていても不十分なのだ。18世紀には簡略版や短縮版で上演されていたシェークスピアが19世紀になって完全版が上演されるようになってから復活したというような話も思い出した。戯曲の改変はやはり良くない。会場で販売していたカズモから発売されている1982年の本多劇場こけら落とし公演のビデオ「秘密の花園」を見る(何度かNHK-BSで放送されたもので、97年に放送されたものを観ている)。20年以上前の舞台中継でもその凄さは充分伝わってくる。この時の緑魔子と柄本明、清水紘治はやはり素晴らしい。
打ち上げの宴会では金さんに振られて2001年に唐さん、金さんと三人でニューヨーク公演の場所を求めて吹雪のイーストリバーを歩いた話をさせられた。終電がなくなってから、金さんと二人で唐さんを見送り、最後まで残っていた友人たちと軽く飲んでタクシーで帰宅した。疲れたので日曜はごろごろして休養。

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先週木曜日には所属しているマルチメディア文化課程の二年生向けのゼミ説明会及び、学生/教官、先輩/後輩の枠をとっぱらった一年で一回だけの学科全体の懇親会という名の... [続きを読む]

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