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2005.03.11

壁の中の日常

 10日は新宿パークホールで開催中のアルカサバ・シアターの「壁−占領下の物語」の初日に行く。バッタの時の相棒の椿昇が美術をやっているのである。詳しくは椿昇のパレスチナ日記に書かれている。椿は昨年の10月約一週間にわたってパレスチナ自治区やエルサレムを訪れた。アルカサバ・シアターはアラファトが幽閉されていたラマラにある劇団。まさしく「壁の中の日常」を生きている劇団だ。
 会場には扇田昭彦さん、鴻英了さん、田之倉稔さんらの演劇関係者、金沢21世紀美術館の黒沢さん、四方田犬彦夫妻なども顔を出していた。今回ぼくは大久保鷹さんに頼まれて、映画監督で元日本赤軍コマンドの足立正生さんたちを椿に紹介することになった。足立さんは言うまでもなく、70年代からずっとパレスチナ解放運動に関わり、2000年に収監されていたレバノンの刑務所から日本に送還され、現在は新作映画「13月」の製作に取りかかっている。この辺りの事情は、最近の自伝的著作「映画/革命」や、盟友・若松孝二監督の新刊「時効無し」に詳しく書かれている。どうやらこの映画は日本の劇団がパレスチナを訪れるという話らしく、ドキュメンタリーとフィクションの入り交じった作品になるらしい。コソボ、エルサレムという世界の火薬庫から帰国したばかりの四方田さんも交えて話した。
 アルカサバ・シアターは少数派のキリスト教徒中心の劇団らしく、思いのほかソフィストケートされた無機質なスタイルの劇団だった。だが、そこに壁があり(椿は実物サイズの壁の装置を作った)、その壁に現実に閉ざされているパレスチナ人たちがそこにいるだけで、ある意味で演劇を越えているパフォーマンスであり、ずっしりした重さが伝わってくる。ただ、場所といい、雰囲気と言い、国際文化交流の取り澄ました空気に包まれていて、バレスチナで起こっている歴史的で政治的な悲惨がきれいに覆い隠されているような気もした。主宰者のジョージ・イブラヒムさんや椿お勧めのモアッズさんとも少し話したが、彼らが生きる日常と彼らの世界に向けた「演劇表現」とのつながりがもう一つよく分からないような気もした。写真はレセプションで挨拶する椿昇とイブラヒムさん。
DSC05144
 レセプション終了後、大久保鷹さんと少し飲む。大久保さんは椿昇を大変気に入ってくれたそうだ。32年前、「唐版・風の又三郎」でレバノン、パレスチナを訪れた時に、「夜の男」役でロバにまたがって登場しようとしたらロバが全然言うことを聞いてくれないので、そいつを抱きかかえて持ち上げて舞台に登場したという話をしてくれた。ここから、もしかしたら何かが始まるかもしれない。

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