« モンテレーにて(1) | トップページ | モンテレーにて(3) »

2005.10.20

モンテレーにて(2)

 そして、初日を迎える。時差ぼけの時にはだいたい一時間おきに目が覚めてしまう。朝の四時過ぎから動き出し、暇なのでホテルの近所を散歩してしまう。ここに来るまで全く知らなかった町だがモンテレーはさすがにメキシコ第二の都市だけあって、町はよく計画されており、完全に碁盤の目上に道が配置され、ホテルのある中央部は全体が公園のようになっている。建物が街路と有機的に結びついており、古い建物と新しい建物が調和的に配置されている。ここに建築大学の学生百五十人をつれてきたというテキサスのサンアントニオからきたEla Tekkaya Poursaniは、モンテレーの都市環境について発表すると言う。Elaはトルコ生まれの女性でイラン系アメリカ人のご主人がいる。スモーカーなので、オーストリアでコミュニケーション・デザインを教える同じくスモーカーのMichael Kneidlとすぐに仲良くなる。国際記号学会副会長のJeff Bernardをはじめ、国際学会ではスモーカーたちは喫煙コーナーを通して、まず最初に仲良くなる。というよりも、いつも驚いてしまうがだいたい知識人や大学教授の喫煙率は北米や英国を含めてとても高いのである。とは言え、メキシコなのに会場のMonterrey Autonomous大学は構内禁煙。ただこれもメキシコ的で一歩建物の外にでると吸い殻が散乱している。だって灰皿おいてないんだから仕方ないよね。ぼくとアメリカ人のElaは吸い殻を捨てないが、一番こういうことに厳格なはずのドイツ人のMichaelはどんどん捨てまくっている。まあ、メキシコだからね。
 メキシコらしい天気で空には雲一つない。午後にはどんどん気温が上がり、その代わり建物の中はギンギンのエアコンで寒すぎる。DSC06610
DSC06615
 朝の十時前からよるの九時までびっしりスケジュールが入っていたのが、案の定どんどん変更されていく。何人かのメキシコ人の発表がカットされたり、三つあった発表会場が強引に一つにされたりする。なぜか接客だけは完璧でレジストレーションのコンピュータ登録や、同時通訳システム、映像記録、案内嬢(かわいい女の子たちがおそろいの赤い制服を着ていてかっこいい)がいるのだが、肝心の会議の進行の方は、主催者のPablo Espinosa Vera教授がほぼ1人でやっており(しかも、時々いなくなる。外でさぼっておしゃべりしているらしい)、もう1人教授が一週間前に英語がしゃべれるからとつれてきたMarcoという23歳の青年が手伝っている。Marcoは服の着替えができないほど、1人で飛び回ってるし、Espinosa教授の方はもう英語がしゃべりたくないのか(かなり下手)、スペイン語しか使わないので、時々なにを言っているのかわからない。2時過ぎに昼食でホテルに戻ってもバスの運転手が帰宅してしまって迎えにこず、さらに遅れた。
 ぼくはこの日の五時半に発表することになっていたが、結局は七時前になった。悪いので予定をはしょり三十分で終わらせたが、休憩なしでセッションが続いたので学生たちもだいぶかえってしまい、聴衆も疲れのあまりだいぶ外に逃げていたので少しさびしい。それでも、終わった後三人ほどにおもしろかったと話しかけられてうれしかった。こういう会議のあいだ、とりわけスペイン語のセッションの間は外でたばこを吸いながらいろいろな人と社交。Jeff Bernardはいつもと同じように愚痴ばかり言っている。彼らは基本的には論理学者で、記号論ブームを作ったエーコやクリステーヴァやバルトとはタイプが全く違うくそまじめな人たちなのだが、アフリカ、アジア、南平などからはヨーロッパの記号学会の重鎮として扱われる。それで、こういう場所が広がるのはいいとしても、みんなは「本当の記号論」を誤解しているというような愚痴である。まあ、新会長のタラスティや事務局を引き継いだスウェーデンのゾネセンなども同じようなタイプの人たちなんだけどね。この人たちの話は、たいてい教科書的な整理か、重箱の底をつつく論理学者や言語学者の文体で、はっきり言えば退屈なんだけど、聴衆は熱心に聞いている。ソシュールとかパースやモリスとかエーコとかの名前がでてくるだけで結構受けるので、なんだかもうピークを過ぎた歌手の地方営業みたいなところもあり、なんとなくめげる。
 結局九時過ぎに突然会議は終了し、ホテルの近くにある博物館の中でレセプション。音楽付きのフルコースなのだが、ただ単に食事をするだけ。終わった後、MichaelとElaと一緒に、疲れ切ったMarcoを連れて、メキシコ史博物館のそばにある川沿いの飲み屋に。屋台風の店が並んでいて、松の木が植えられていてそこから見上げる月と川や橋の風情がすばらしく美しかった。結局一時過ぎまで飲む。ビール工場がたくさんある町だけあって、どのビールもおいしい。Carta Blancaというのが気に入る。
 というわけで、一日目が終わったばかりなのに随分いろんなことがあった。結局は今日もこうして起きてしまったので(朝五時過ぎ)エントリーを書いて、また九時には出発する。Elaは今日もう帰らなくてはならないらしい。さて、今日はなにがあるだろうか。
 こちらではWilmaという新しいハリケーンがユカタン半島に上陸しそうと騒いでいるが何しろメキシコは大きな国で遠いのでまあ影響はないだろう。

« モンテレーにて(1) | トップページ | モンテレーにて(3) »

「旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

最近のトラックバック

2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30