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2005.12.07

誰が姉歯を責められるのか?

 27日は中野の光座に唐組の久保井研が出演している新転位21の「黙る女」を観に行く。あとは一連の大学内の問題でタフな会議続き。それから、文化庁の芸術文化振興会などの文化助成の実績報告書作りや来年度の申請書作りに追われる。これをやっているとストレスがたまる。
 演劇/映画/美術/音楽といったあらゆる領域で国家による文化助成が行われており、演劇だけでも数十億円に及ぶ国費が使われている。そして、きわめて多数の演劇公演がここから助成金を受け取っているからだ。だが、これを受け取るためには一年のこの時期に次年度の予算計画を提出しなくてはならない。そして、助成金の額は予算総額の1/2まで、そして自己負担金(つまり赤字)の範囲内でなければならない(実際には赤字分全部ではなくそこにまた60%程度をかけた金額が助成額となる)。そして、実績報告書ではこの総予算額とだいたい同じ(80%まで)になっていなければならない。そうでなければ助成金は減額、あるいは再審査ということになっている。昨年くらいからは、さらに一部の領収書の写しを提出することになっている。不正を許さないための措置である。よろしい。役所としてはきちんと審査を行っているわけだ。
 ただ、何かが変だ。演劇公演では小さなところを除けばたいてい数百万円から一千万超の助成金が出ている。ということは、いつも赤字がそれくらい出る予算計画を立てていることになる。つまりは総予算の半分に及ぶ巨額の赤字が出る事業を全く懲りずに毎年続けているということになるわけだ。なぜ、そんな赤字に決まっている計画を立てるのだろうかということは誰も問題にしない。役所は申請が形式に則っていれば、中身までは問題にしない。審査委員は演劇界の人たちだから、だいたい事情は分かっているので黙ってそれらの「めちゃくちゃ赤字になる公演計画」に助成を認めてくれる。ぼく? もちろんぼくは適正な申請をしていますよ!(笑)
 一連の耐震偽装問題でさまざまな関係者が登場してきて「誰が悪いのか?」という悪者探しが始まっている。その中で検査機関イーホームズの社長の、定められた通りの検査を行っているので検査体制には何の問題もなかった、もし問題があるとしたら法律の方を改めてほしいという供述は筋が通っておりもうこれ以上取り上げられることはないだろう。一方、ヒューザーの社長や木村建設の支店長らはその印象の悪さも手伝って、姉歯建築事務所に分かっていて圧力をかけていたのではないかという疑いを払拭できない。彼らは「自分たちは全く知らなかった。姉歯個人がやったことで自分たちは被害者だ」と主張しているのだが、そうではないことを証明することは難しい。姉歯個人に賠償などとてもできなさそうなので、ヒューザーに非難が集中しているが、この会社が倒産することを防ぐことは誰にもできない。そこで国交省に攻撃が向かう。国と自治体が責任を取れというわけだ。何か、変だ。姉歯を除いてすべての関係者が「ルールを守っている」のに関係者全員が責任を取らされることになるからだ。
 それでは、姉歯1人が極悪人なのだろうか? 構造計算書を偽造したのだから明らかに「ルールを破った」と言えるのは姉歯だけなのだ。建築確認用の構造計算書は決められたコンピュータ・ソフトで提出することになっていると言う。データを入力するとソフトが自動的に強度計算をして「OK」とか「ERROR」とかが表示されるらしい。入力する数値が間違っているだけで「ERROR」が出る。ここを意図的に操作したという罪は逃れがたい。
 ただ、姉歯は本当に「強度不足で地震の際には多くの死者が出る」と確信してそれをやったのだろうか? この辺りのところが不透明だ。建物が一定の震度の地震の時に必ず倒壊するかどうかを予測することはきわめて難しい。81年の建築基準法改正以前の建物が地震に弱いことは阪神大震災の時にある程度は分かっている。だが、すべてがそうだったわけではない。ぼくの研究室のある研究棟は昭和四十年代の建物で耐震設計になっていない。だが、事実としてもう何十年も崩れずにもちこたえていることも事実だ。では、国は「退去命令」を出すのだろうか? いやそれどころか、国立大学には何百もそういう建物があるということで、耐震補強工事の予算要求も拒絶されているのだ。
 本当に耐震設計が有効なのか、地震の時に本当に安全(危険)なのかは誰にも分からない。一方、ルールさえ守っていれば誰からも文句を言われない。楽天の三木谷やホリエモンが、フジやTBSの経営陣が不快感を表明していても、なぜ株を買っていけないのか分からない、資本主義のルールを自分たちは守っているという時にも同じことを感じる。要するにシステムとルールさえあれば、人間は居なくてもいいのだ。砂場で何時間もかけて砂の城を造っている子供たちを、ここは自分たちが権利があると言って大人が勝手に崩したら子供たちは怒るだろう。そのことに何の良心の痛みも感じない大人たちの方がおかしいのだが、彼らはルールに則ってやっている限り何の良心の呵責も感じないだろう。
 今回の事件は日本という社会システムそれ自体が問われているのだ。国や自治体が調整に乗り出すのはおかしい。もしそうだとしたら競馬や賭博で有り金をスッてしまった人たちにも国が補償をしなくてはいけないことになる。そうではなくて、人間が要らないシステムに依存するような社会そのものがおかしいのだ。
 もっと言えば、みんなが姉歯なのだ。クレーム処理もマニュアル通りに行い、自分自身でものを考えてはいけないと言われているサービス業やカスタマーサポートで働く大学生のバイトから、役人から、サラリーマンから、要するにいまのぼくたちはみんな姉歯と変わらないではないか? 人間としての良心はどうなのだと糾弾するサラリーマン・マスコミも相当おかしい。姉歯の姿を見て、自分たちだって同じじゃないかと思えない人間は、それこそ良心がどうかしている。

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コメント

今、世間を騒がせている耐震偽装犯罪の姉歯建築士も創価学会員です。
そして、その尻拭いに税金を投入しようとしている北側国土交通大臣も創価学会員です。
創価学会の狂信者達は、どこまで身勝手なのでしょうか?
被害者の代表も創価学会員?という情報も読んだ覚えがあります。
創価学会の悪行もいい加減にして欲しいですね。

こんなカルト集団が作った公明党など皆で潰しましょう。

【参考ブログ】
創価大学出身政治家・北側国土交通大臣が公金を投入したがる理由とは!?
http://ameblo.jp/worldwalker2/entry-10006879677.html
必撮!勤め人 2005年 11月 29日 人命のデフレ(GRD)
http://artisan.exblog.jp/2032542

ついでに

 オーストリアが創価学会(公明党)をカルト(セクト)に指定
 http://www.lermanet.com/cisar/books/990913b.htm
 チリ議会が創価学会(公明党)をカルトに指定
 http://www.hrwf.net/html/chile2001.html
 ベルギーが、創価学会(公明党)をカルトに指定
 http://members.ozemail.com.au/~skyaxe/mahikari.htm

 京都 相国寺・金閣寺・銀閣寺・承天閣美術館の公式ホームページ
 http://www.shokoku-ji.or.jp/information/activity/shoseki/shoseki04.html

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