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2005.12.18

盛り沢山

 13日は多摩美の最終授業で忘年会。参加者少ない。一番ムッとしたのがずっと「忘年会もちろん参加しますよ」と言っていた連中がごっそり授業そのものを欠席したこと。約束守るプライドがないのか。ここ数年普段つきあいのない上級生や同級生と一緒に顔を合わせることを避けたがる傾向が強すぎる。鬱と引き蘢りが蔓延し続けている。人気がないのならともかく、休憩中には順番待ちで話しかけてくる(違うグループに混じり合ってくることはない)し、少人数ならしゃべりたいというのだが、余り普段口をきかない人たちと知り合おうという意欲はないらしい。まあ、結局のところは結構楽しく宴会をしたけどね。
 一日置いて15日は二年生向けのゼミガイダンスとマルチメディア文化課程の忘年会。一年生の幹事ということでいろいろと不手際はあったけど、茂木一衛さんのウィーン、シュテファン大聖堂での「レクイエム」コンサートのDVD紹介や大里俊晴君の久々の素晴らしいライブ演奏で全体が締まった。終了後はいつものように11:00くらいまで521号室でぐだぐだと話す。
16日金曜日は唐ゼミ★の中野、椎野と三人で池袋で公演中の南河内万歳一座公演「仮面軍団」を観に行く。唐組の久保井、丸山、高木君たちや、「調教師」に出演していた萩原聖人さんたちが来ていた。11:30頃まで飲み会。
 「仮面軍団」は内藤裕敬さんが28歳で書いた作品で、基本的には青春文学物であるが、登場人物や設定が変化に満ちておりとても楽しめた。重定礼子、皆川あゆみ、河野洋一郎、木村基秀、安宅慶太、そして内藤裕敬らの役者陣も充実していて面白い。本人はこの頃の作品は状況劇場の影響が強いと言っていたが、徹底して内在的な傾向をもつ内藤作品と唐十郎作品とでは細部を除けば類似点はきわめて少ない。ぐだくだした「大人の社会」に対して内藤が突きつけるのは、「ギャンブル」であり「プロレス」であり「テレクラの女」であり「貧乏」であり「家族」であり、要するにそれら自体が資本主義社会に内在的な現象にすぎない。そこに「外部」や「超越性」や「不合理な神話的記憶」が乱入して来るようなことはほとんどない。この徹底して内在性に閉じられた作品構造の中の唯一の「外部」は「小春」と名付けられた老女であるのだが、初演では内藤自身が演じたというこの老女はいわば「作者の視点」として導入されている。今回の舞台では、むしろ「永遠の少女」を思わせる重定礼子がそれを演じることによってこの構造が曖昧化され、不定形な揺らぎを生み出していることも成功しているひとつの理由であるようにも思える。いずれにしても、若い作者の心の中のカオスの闇が大きな振れ幅をもっていて、どちらかと言うと自分自身がぐだぐだした「大人」になってしまったという視点から若者文化や現代文明の「病」を虚無的な絶望の中で取り上げるといった最近の内藤作品よりも、こちらの方がずっと面白かった。ある意味でこの作品の再演が内藤自身にとっての新しい挑戦への始まりであるのだろうから、今後の内藤と南河内万歳一座の新展開に期待したい。戯曲に寄り添って「演劇作品」を洗練させていくよりも、もっともっと「ふざけて」いいのだ。その振幅の拡大からしか演劇的な広がりは開かれてこないし、「演劇行為」の中に含まれるノイズをもっともっと拾い上げていかなくてはならないのではないかと思った。
 17日土曜日は東京都写真美術館で「ガラスの使徒」のロードショー初日の舞台挨拶に顔を出す。唐さん、金さん、稲荷卓央君、さとうめぐみさんらの舞台挨拶には美仁音ちゃんも飛び入り参加した。終わった後関係者と喫茶室で二時間程話し、来週開幕する新宿梁山泊の「風のほこり」の通し稽古に行く唐さんを見送り、大役を終えた稲荷卓央君と食事をして帰る。「ガラスの使徒」を見るのは試写会以来数ヶ月ぶりだが、印象としては相当面白く感じられた。思った以上に唐十郎世界が凝縮されている。一月中まで公開しているので是非見に行って欲しい。恵比寿ガーデンプレイスも駅ビルのアトレも館内禁煙(館内ばかりじゃなくて戸外ですらもきわめて少ない喫煙コーナー以外は禁煙)になっていて、信じられない程のひどさ。アメリカなんて問題にならないくらいの潔癖神経症が拡大していることがわかる。こんな気持ちが悪い都会は世界でも珍しいと思うのだが、タバコ吸わない人にはこの異常さがわからないのだろうなあ。いま、「嘘だらけの嫌煙キャンペーン」の改訂版を作成中なのでまたここで公開したいと思う。こんな異常な規制を見ると、小谷野敦の言う「禁煙ファシズム」もまんざら誇張ではないように思われる。
 これだけ毎日こなすと流石に疲れたが、今日は一日書類作り。来週は会議週間でそれが終わるとようやく年末になる。

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コメント

こんにちは。再び多摩美関連の話題に反応してしまいました。
なんだか少し哀しくなるお話ですね。
折角の飲み会、付き合いが広がる絶好の機会だと思うのですが…。
立食パーティー等でもそうですが、
結局、同じ面子だけで集まっていては、
楽しさも半減すると思うのはパーソナリティの問題なのでしょうか。

僕が現在暮らしているスウェーデンでも、
嫌煙に関しては相当ヒステリックな反応があります。
今年からレストランやバーでの喫煙が全面禁止になった為、
屋内でお酒と共に煙草を楽しむという事は不可能になりました。
寒い環境(現在、屋外は氷点下)にも関わらず、
わざわざ屋外の席に陣取って煙草を吸っている人間を見かけると、
相当、不憫に思えます。
当然、その他の屋内も全面禁煙。
煙草税の高さも相まって、
愛煙家には相当厳しい環境だと言わざると得ません。
一方、知識層の喫煙率が高いのは何処の場所でも同じかもしれませんね。
それと、北方ヨーロッパでは「スヌッス」と呼ばれる噛み煙草がポピュラーなのですが、
これに関しては、その発ガン性が頻繁に指摘されています。
煙草の方が余程安全で健康的だと思われているのは面白いかもしれませんね。
以上、駄文をお許し下さいませ。

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