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2006.04.09

唐ゼミ★の「お化け煙突物語」はかなり凄い(?)かもしれない!

 見終わった後、とにかく頭にこびりついてくる。寝ていても起きていても、場面イメージや歌のメロディがいつまでも頭から離れない。この過去に取り憑かれた者たちの地獄絵図のような世界が、脳の奥の方に伝染してくるのが、とても不思議だ。あの巨大な文化行政システムとの戦いであった去年の新国立劇場公演を経て、唐ゼミ★はここまで進化したという思いが強い。
 まだ仮の装置で照明も入っていないが、多忙を極める唐十郎に途中経過を見てもらうために、7日、8日と仮組のテントで通し稽古をやった。8日に唐さんの他に、TBS「情熱大陸」でずっと密着取材をしている大島渚監督の次男大島新氏のチームも入って、びっくりしていた。急遽、主演の椎野裕美子と中野敦之のインタヴューを収録していたことからも彼らの受けた衝撃がわかった。最初は明日があるからお茶だけでいいよと言っていた唐さんも、結局は興奮のあまり浴びるように飲んでしまい、芝居の話や歌のリクエストで深夜まで終わらない宴会が続いた。あれほど喜んでくれた唐さんも珍しいし、これでますます劇団員の気合いが入りまくり、本番では何倍も凄いものが生まれていくのではないかと期待できる。
 正直、「お化け煙突物語」はぼくにも意味がよく分からない。「訳の分からなさ」という点ではかなり突き抜けているし、みんながイメージする「アングラ」臭さも相当濃厚な、無意識的イメージのメルティング・ポットのような作品だ。蜷川幸雄がパルコ劇場で上演し大成功をおさめた名作「下谷万年町物語」の二ヶ月後に書かれた作品であり、本人が「商業演劇だから、ちょっと分かりやすくしなくちゃいけないと無理しちゃったんだよね」という鬱憤を吐き出すように、矢継ぎ早にイメージの一斉射撃が始まって、そうなるともう収拾がつかなくなるまでの全力疾走が始まる。とてもではないが、頭がついていけない。台詞とイメージの洪水に身を任せるしかなくなる。それでも、なぜなのか、最初に書いたようにいつまでも頭にこびりついてくるのだ。最初は駄作だと思っていたテキストが、いつまでも頭の中でかけめぐるようになっていく。中野が仕掛けた一幕終わり、二幕終わりのエンディングも凄い。文脈も意味も関係なく、無根拠に胸が揺さぶられ、わけもわからず涙が浮かんでくる。こういうのをうまく舞台化できるようになったということが、演出・中野敦之の成長であり、これは他の劇団や演出家には絶対に真似できない地点まで到達しているのではないかと思う。正直、突出しているのだ。去年、唐組がやった「カーテン」とも共通する部分がある。どのような視点で、何を比較するかということにもよるが、昨年からの唐十郎作品連続上演の中でも、これは断然凄いのではないかと思う。二度、三度観に行きたくなる幻覚剤のような作品に仕上がった。
 そして、ある意味でこの作品は椎野裕美子のための作品である。開幕からエンディングまでとにかく椎野はしゃべり、踊り、唄い、走り回る。女優としての彼女の魅力が全開しているし、椎野がこれまでやってきたことの一つのピークがそこに現れている。身内びいきを差し引いたとしても、こんな凄い女優には長い間舞台で出会ったことがない。椎野裕美子と禿恵という二人の女優がいることが、唐ゼミ★の最大の強みであることを再確認した。椎野と禿恵との一幕での長い絡みのシーン、浅草軽演劇のようにバカバカしくありながら、とても色鮮やかに印象深い。それに絡む古川望、椎野の相手役の渡辺幸作も7日はもう一つだったが8日は素晴らしかったし、杉山雄樹、前田裕己、安達俊信らも一日ごとに進化している。大学、東京、横浜と三日間ずつの短い公演だが、この短い刹那に何か大きな奇蹟が起こりそうな予感すらする。5月3,4,5日の東京公演は既にチケット予約が殺到しており、狙い目は大学公演と横浜公演である。今回は仕掛けが大掛かりなために多分100人ちょっとしか観客席が作れないが、是非お見逃しないようにしていただきたい。

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