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2006.05.06

波瀾万丈!「お化け煙突物語」東京公演

 5月3日〜5日の三日間、墨田区業平橋駅裏での劇団唐ゼミ★第9回公演「お化け煙突物語」が終了した。5月2日に朝日新聞東京版に大きな記事が掲載され、予約が殺到。いずれの日も120名を超える満員、とりわけ4日は150名に達する大入りとなった。テントも後方を持ち上げ客席を拡張しなくてはならずうれしい悲鳴を上げることになった。
 もう一つは下町の人々の人なつっこさとやさしさである。記事を見て、昔のお化け煙突の写真額を受付に飾って欲しいと持って来てくれた人、自転車で看板を通りすがりに見て、話しかけてくる人、家族連れで見に来て「面白かったよ」と声をかけてくれる人。みんな素直に喜び大きな笑い声を立てて楽しんでくれている。これもうれしかった。
 意外とこの地域に近い場所に住んでいる人たちも多く、いろいろな人が見に来てくれたが、特に初日は忙しい中、唐さんや唐組/新宿梁山泊の面々、十貫寺梅軒さん、初演時の美術を担当した濃野さんなどが来てくれとても高い評価をいただいた。とりわけ、唐さんには今回三週間以上前の粗通ししか見てもらっていないので心配だったが、とても喜んでくれたのでほっとした。中野たちにとってはこの評価が絶対的である。これで行けるんだということで全員気合いが入り、一丸となって二日目以降に挑むことができた。この日は水戸などからぼくの高校の同級生も来てくれたので浅草に宿を取った。二日目は大久保鷹さん、田村泰二郎さんら。三日目にはこの場所を借りるのに協力していただいた宇野マサシさんや墨田区の高野さん、堀切直人さん、カズモの小澤さんなど数多くの人が足を運んでくれた。
 相変わらず、毎日反省点を改善しながら、大幅に演出や演技を変えて行く。今回印象的だったのはメンバーの一人一人がいつも演技について暇を惜しんで考えている真摯な姿勢だ。新国立劇場公演を経て、もはや、現場での彼らは完全なプロフェッショナルであり、甘えのようなものは一切無い。この戦争のようなぴりぴりした雰囲気がテントを建てた時からずっと持続している。毎日横浜から通わなくてはならないので相当きついはずだが、そこは若さで何とか乗り切っている。最終日はみんなでテントに泊まり込み、今頃は夜明けとともに撤収作業を進めているはずだ。毎日、テントで宴会を開き、いろんな人から感想を頂く。うれしいものもあり、ちょっと反省させられるものもあり、正直いったい何を見ているんだとムカつくものもある。若い彼らを調子づかせ、やる気を引き出してどんどん次の舞台を面白くさせていくものならいいが、意味なく昔の状況劇場との比較を持出したり、自分の願望だけを押し付けようとしたり、改善しようがない役者の身体的特徴などに言及されると腹が立つ。その一方ではとても力づけられることも多い。まあ、そんなこんなで終わった後までも遅くまで芝居のことを議論し、疾風怒濤・波瀾万丈な三日間が過ぎて行った。そういう彼らの姿を見ているとやっぱり若いって凄いなと思ってしまう。ぼくにとっても目を見張らされる体験だ。
 唐ゼミ★は、この公演で2002年の「ジョン・シルバー」に続いて、第三期とも言うべき新しい段階を迎えつつあると思う。昆虫の変態や脱皮のように、この三日間の経験は彼らの頭の中で大きな化学反応を引き起こしたに違いない。しかも、このプロセスは現在進行形で続いている。5月19-21日の横浜吉浜町公演−ここでは脱皮した彼らの新しい姿が見られるかもしれない。彼らがいったいこれからどうなっていくのか、是非見届けていただきたい。

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コメント

室井先生、先日は打ち上げにお誘い頂きありがとうございました。
せっかくお誘い頂いたのに、参加出来ず申し訳なく、また残念でした。
今回二日「お化け煙突物語」拝見させて頂きましたが、とても素晴らしいでした。
中野さんの演出も冴えてましたが、劇団員の個々の成長も凄まじいものが
あったのだと思います。熱気と情熱と、何よりも唐さんの台本。
あの難解な台本をよくあそこまで表現できたなあと、客席から拍手しながら
思っておりました。若さもですが、劇団員のやる気が前向きなのがいいです
狭い舞台を縦横に飛び回る、ともすれば客席に飛び込んできそうな程です
セリフもそうですね。一日目観た時よりも二日目が、一層良くなっていた
ように思います。役者さんがどんどん舞台の上で学習しているからでしょうか。
時間の都合で横浜は見に行けませんが、これからの唐ゼミの活動から目が離せません

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