ローマ
ホテルは中心地を少し離れた大学都市近くにあり、この周辺には何もない。ネット事情は悪いが、コンパクトにいろいろな設備があり、とりわけダブルのベッドの寝心地は悪くない。
87年にローマに来たことがある。あの時はフィレンツェから鉄道でテルミニ駅に到着したのだった。もう二十年近く前だから、いろいろ変わってはいる。だが、それでも二千年以上前から続くこの町の全体的印象はそれほど変わらない。
今日は、前回行けなかった場所、フォロ・ロマーノやカラカラ皇帝の浴場跡などを回る。地下鉄でヴァチカンに向かい、博物館へ。ここも入り口が新しくなっていた。ここのラファエッロやミケランジェロのテンペラ画は、実際に見ると淡く、はかなく見える。テンペラだからということもあるが、天井から壁からあらゆるものがごてごてと飾られているので、相対的に淡く見えてしまうのかもしれない。絵画館のカラヴァッジオですら、何となくあっさりとしたものに見えてしまう。相変わらずすごい人混みで満員電車の中のようだった。
今回目につくのが、韓国人の団体客と中国人の個人客だ。両方とも「地球の歩き方」そっくりなガイドブックを携えている。日本人は驚くほど少なくなった。やっぱり八十年代というのが、日本のピークだったのだろうか(今はユーロが高いし、学生たちはみんなヴェトナムやタイに行きたがるし)。あの頃の日本人観光客は目障りなまでもパワフルだったのに、今は中国人にその座を奪われた感じ。
帰りは適当にバスに乗って中心部の景色を眺めながら、テルミニ駅に。昔はここのセルフサービスの食堂にお世話になったものだが、完全に新しくなっていて、うら寂れた感じは一掃されていた。スーパーで肉屋で焼きたてを売っているローストしたチキンを買って帰ったが、骨まで柔らかくてうまい。こんなおいしい鶏にはめったに出会えない。
明日、一日ローマをうろつき、あさってにはバリに移動して、そこでペトリッリらと会うことになっている。宿題もあるので、明日も観光は適当にしよう。ローマは日向はやっぱり暑いが(だから大浴場の人気があったのだろう)、ウルビノと違って蚊もいないし、日陰は涼しい。
#やっぱり写真はきついので今回はテキストのみ。
2日目
前に来たときもそうだったが、何となくローマに来ると「ローマの休日」巡りをしてしまうんだよね。
スペイン階段とか真実の口とか、どうってことない場所にもつい回ってしまう。またトレビの泉に行って小銭を背中ごしに投げてしまう。コロッセウムとかパンテオンとかヴェネチア広場、ナボナ広場なんかはそれなりだし、途中道に迷ってまた昨日のフォノ・ロマーナに戻ってしまい、カピトリーニ広場にも戻り、博物館も見た。前に来たときにはスペイン階段の近くで靴を買ったな。
途中、スペイン階段で先生に引率された女子大生の団体と遭遇した。そういえば、91年にはぼくも帝塚山学院の学生たちと九月に三週間の旅行をしたことがある。あの時は島本浣さんがイタリア、スペインから、ぼくたちがオランダからチューリッヒ、ジュネーブ、ベルリン、ベルギーを経て、二グループが最後にはパリに合流して10日間過ごすという、かなり企画者島本さんの意志がはっきり反映された旅だった。いまの職場では考えにくいことだけど、あれはあれで楽しかったなあ。そうやって帰国したら突然今の大学へ来ないかという誘いの電話があったんだっけ。、
それにしても昼は異常に暑いのでついついジェラートを食べてしまう。明日からはバリ、ナポリと未知の土地に足を踏み入れることになる。
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