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2006.07.18

パースのセッション

 というわけでパースとイメージの記号論のセッションが始まったが、いきなり面白くない。

 ソシュールの記号論や「構造主義」が、静的で面白くないと言われ始めたのが、「記号論」の人気がなくなっていったひとつの理由だが、エーコがヨーロッパにパース流の記号論を導入して以来(と言っても二十年以上も前の話だけど)、パースこそが記号論の救世主になるのではないかというような雰囲気が生まれ、それも九十年代の中頃から急速に人気が出てきた。エーコやバルト、それどころかバフチンまでをパースが先取りしていたというような議論だ。今呼んでいるペトリッリの本でもパースはすべての創始者として大きく扱われている。

 そして、パースのテキストや発掘された断片がまるで聖書のように使われるようになった。パースは写真や絵画についても沢山の断片を残していた、とか、彼が死んだ後に出現した抽象絵画についてだって、彼はヒントになるような文章を残しているとか、だいたいそんなような話だ。それで本当に何かが分かるならともかく、結局のところは字句の解釈をめぐって神学論争のような退屈な議論をしているだけなのである。

 ウィンフリート・ノートやサンテーラ・ブラーガの話も退屈。韓国のキム・ソンドの話は、定番の東アジアの豊かな文化を紹介しつつ、マルチメディアについて話すという総花的でどうでもいいものだった。彼はパリ大学で学位を取っているし、英語もイタリア語も分かるらしく、官僚的に能力がある人物で、韓国記号学会の事務局もやっている。しかし、パースとの関係もあまりない上に話がつまらなすぎる。

 余りに退屈だったので、延長されて8:00をすぎたセッションが終わった後、隣に座っていたエミーリオと、8:30に毎晩出ているシャトルバスでウルビノに飲みに行くことにする。昨日も一緒だった彼女は、アルイーザと言ってマルタ出身でイギリスでエジプト考古学を専攻している学生だ。エミリオの案内で有名なレストランに行き、名物の「巨大ピザ」を食べる。エミリオはロンドンで「マーケッティング」のコースを教えているそうだが、Ph.D論文はイギリスの「バイク族」についてのエスノグラフィ研究だったらしい。変なキャリアだし、哲学や記号論についての基本的な教養は欠けているが、話しているとなかなか知的だし、誠実である。

 気づくと隣のテーブルにカナダやアメリカから来たグループが6,7人と、イタリアのバリ大学から来たグループとが来ている。車で来たらしいが、やはりここは有名な店なのだろう。バリ大学から、結局はこのセッションに間に合わなくなった(中国の学会からそのままアフリカに行って18日まで帰ってこない)スーザン・ペトリッリが、ぼくに挨拶しろと命令したのが、手前のアントネッラとティッツィアーナという女の子。二人とも歯の矯正器を入れていて若いが、ティッツィアーナは博士課程、アントネッラはナポリ大学を出て今年からバリ大学の修士に入ったばかりらしい。鼻にピアスしている女の子を国際学会で見かけるのはきわめて珍しい。が、かわいいのて一緒に記念撮影。ペトリッリがここに来るかどうかは分からないが、少なくともアウグスト・ポンチオは20日にやってくるとのこと。

 ぼくたち三人以外はみんな車で来ているので、シャトルバスの運転手にあらかじめ頼んでおいた11:30にバスが迎えに来て、いろいろな欲求不満もとりあえず解消して床についた。178425123_6
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