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2006.09.08

21年ぶりのマドリード

 最初に来たのが81年の夏だったと思う。母親の付き添いでパリからプエルタ・デル・ソル号の狭いクシェットに乗って行った。団体旅行だったので、半日の市内観光はついていたが他はオプションで、トレドとアヴィラ・セゴヴィアのバス旅行に行った。

 この時の印象は強烈で、フランコが死んだ直後だったため町は平和で明るさに満ちていた。物価は以上に安く鶏の丸焼きが500円以下とか、驚いた。シエスタ時には店は全部閉まり、レストランの開くのは9時過ぎとか10時過ぎだった。こんな文明もあるのだし、人間にはこんな生き方もあるのだ、とショックだった。恋と音楽と遊びだけで、生きていることは十分に意味があるというような、そして強烈な光と影に彩られた文化に圧倒され、スペインは随分心に残って、すぐに挫折したがスペイン語の勉強を始めたりした。

 二回目が新婚旅行で85年夏、中心部に泊まった。この時は治安はだいぶ悪化しておりバスク解放運動の爆弾テロもあったりして、町はぴりぴりしていた。明らかに貧富の差も広がり人々の顔つきも少し険悪になっていた。それでも、物価はやはり極度に安く、シエスタの習慣も健在だった。マヨール広場で11時過ぎに行ってものすごい人ごみの中でバルをはしごしたりもした。グラナダやバルセロナに行ったのもこの時である。北の国とあまり変わらないバルセロナと比べてマドリッドにはまだスペインらしさが濃厚に残っていた。

 それから20年以上もたつのだから変わって当たり前。中心部はスターバックスやケンタッキーなどアメリカ資本のチェーン店が占め、ベネトンやスワロウスキーが大きな店舗を構えている。当然シエスタで店を閉めたりはしない。

 何よりも物価が高い。カフェとかビールはまだまだ安いが、バルのタパスもみんな5ユーロ以上が多い。ただよく観察すると手ごろな値段の店も全然ないわけではないが、表通りの店はことごとく高い。ユーロが高いだけに割高感は強まる。

 ホテルは王宮の裏のスペイン広場(ドン・キホーテ像のあるところ)の横なので、とりあえず中心部を一通り歩いた。昨日から雨交じりなので空は曇っていて気温も24度くらいなので何だか調子が狂う。前に来た二度とも真夏で38度とか40度とかの暑さで空はぬけるように青かったのだが、やはり九月だからだろうか? ミラノよりは明らかに涼しい。景色も違って見える。そういえば、昨日マドリッド空港につく前に大きな雷雲が広がっていて、空一面に稲妻が駆け巡るすごい光景を見た。赤茶けた荒地にポツポツと低い木が生えているだけの平野が無限に広がるようなカタルーニャの荒涼たる大地と、まるでキングギドラの吐き出す光線のように四方八方に飛び散る(水平方向や上に向ってひろがる稲妻は初めて見た)稲妻のコントラストがすごかったのだが、その影響かもしれない。それでも午後には青空が顔をのぞかせるようになった。

 王宮からマヨール広場、プエルタ・デル・ソルに抜け、初めて王宮アカデミア美術館に入り、昼食を取ってグラン・ヴィアを通って帰りホテルで昼寝。違う町みたいにきれいで、整然としている。あまり北のほうと変わった感じはしない。通りすぎる人々の顔つきもなんか昔より垢抜けて見える。昼休みで閉める店も半分くらいはあるが、他は開店していて、道を歩く人の数も減らない。去年の12月からイタリアによく似た禁煙法が敷かれたためバルの中もタバコがすえなくなった。昔は床にバンバン吸殻落としてたのに。

 かくのごとく、見かけ上はマドリードは随分変わって、他の大都市とあまり変わらなくなってしまった。残念な事である。ただ、スペイン人の気質のようなものがそう簡単に変わるはずがない。町の人たちやホテル、レストランの人たちを見ていても、昔のままのスペイン人気質のようなものは、そのまま残っているように思える。だいたい気付いてみれば、現在のこのマドリッドという町は、スペインが没落期に入ってから、ハプスブルグ家やブルボン家の王が作った町なのだ。もともとスペイン人の町ではないのである。だから、トレドやアンダルシアの町々のように、アラブ人の都市にカトリック文化が溶け合った町こそが元々のスペイン文化なのだ。来週はセヴィリアとグラナダに行くことにしたが、田舎に行って、どうなっているか見てみたいと思っている。 215085930_103
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