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2012.10.08

南京・国際記号学会〈途中経過〉

 南京に着いて4日目になるのだが、せっかく持ってきたMacbookAirからだと、TwitterもFacebookもつながらない。その上、YouTubeもつながらない。iPhoneからだとなぜかつながるのだが、あまり長い文章は書けないのでストレスがたまる。というわけでblogに久々に戻ってみた。逆に言えば、Twitter、Facebook、YouTubeに中毒しているということが分かる。

 中国は通算すると5回目だが、最初に来た1992年からもう20年が過ぎ、だいぶ状況は変わってきた。資本主義とは凄いものでネットで予約するとこうやって五つ星の豪華なホテルにも泊まることができる。店の外に表示してある価格は飽くまで建前で、実際には日本のビジネスホテルよりも遥かに安い値段で泊まれる。

 何しろ今の為替レートだと1元=12円ということになっているが、裏通りに行くと2元もあれば結構美味しい昼ご飯が食べられるのだ。だけどもマクドナルドでは小さなカップのエスプレッソコーヒーが12元もする。この経済の二重構造は昔も今も変わらない。経済格差というよりも二重構造なのだ。つまり大多数の庶民の生活はほとんど変わっておらず、一部の富裕層が資本主義の恩恵に浴しているだけなのだが、その一部のパワーがものすごい勢いで広がっているということだ。街を覆い尽くす摩天楼の林立の影では昔ながらのきたない路地と貧しい人々の切り詰めた生活が併存している。まだまだ文化とか芸術とかいうものがそこに入り込む余地はないのである。一部の市場で活躍している資本主義的なアーティスト(とその「アンチ」としてやはり市場から求められている「反体制アーティスト」)がいるだけで、普通の市民生活には何の関係もない。その意味では、中国はこの20年そんなに変わってきていないとも言える。

 南京で一番大きな大学は南京大学である。それと比べると今回の会場になっている南京師範大学は小さな私立大学のようなものである。建物も結構古くてボロい。そこに数百人の外国人が集まってきているわけだが、学会の組織に慣れていないのであまり環境はよろしくない。プログラムも印刷が間に合わずコピーだし、食事もあまり美味しいとは言えない。これで250ドルとか300ドルとか取っているのだが、高すぎる。まあ、普通国際学会はそれくらい取るものだということなのだろう。

 上海から南京までは中国版の新幹線だった。250km/hを超すスピードで走るが1等から3等まであって、2等席の座り心地は余りよくない。南京駅はだだっ広くてものすごい沢山の人たちで溢れていた。中国では身分証明書かパスポートがないと旅行はできない。それでもこれだけの人が移動しているということなのである。そこからホテルに行くまでは大変だった。何しろExpediaで「Nanjing Central Hotel」(南京中央飯店)と表記され、ホテルのウェブサイトでもそう書かれているホテルが、なぜか「南京中心大酒店」(Central Hotel)と名前を変え、その上四つ星が五つ星になっていたのだ。タクシーに連れて行かれたのは全然関係のない「中央飯店」だった。住所だけを頼りに何とかたどりついたのだが、こういういい加減なところはまだまだ残っている。ホテルも豪華なのだが、バスタブの栓が一度しまると開けられない(操作することができない)とか、「推 push」と「拉 pull」の表示が逆とか、ベッドが大きいだけで凄く寝心地が悪いとかいろいろ変なことがある。朝食は、中華、アメリカン、コンチネンタル、日本式と何でもあるが、正直中華以外はとても食べられたものではない。パサパサののり巻寿司を朝から出すものやめてほしい。

 国際記号学会だが、最初に顔を出したのは1998年のドレスデン大会。それから、リヨン、ヘルシンキ/イマトラ、コルーニャと続き、こちらも五回目になる。元会長のR・ポズナーも現会長のE・タラスティもみんな年齢が70前後となって3-4年ごとに会っているので毎回歳を取ったことがよく分かる。若い人たちも増えてはいるのだが、記号論という領域のせいもあるのかもうひとつパッとしない。F・ジョスト、P・ブーイサック、J・ディーリー、K・カルといったおなじみのメンバーと再会するのは楽しいし、韓国や中国の人たちとも顔なじみにはなったのだが、研究発表はマンネリ化していてもうひとつ。

 今回は日本からは参加者が少なく、大阪大学の檜垣さんが組織したラウンドテーブルだけだったのだが、檜垣さんばかりか事務局の小池さんも結局来なかったようで、若い人たちで孤軍奮闘していたのに同情した。韓国のフランス系の人たちは相変わらずだし、今回台湾の人たちのラウンドテーブルも出たのだが、あまりに古いタイプの研究発表なのでびっくりした。情報のギャップはまだまだあるようだ。

 南京にきたら「南京大虐殺記念館」に行きたかったのだが、唯一スケジュールを開けられた今日が月曜日で休みだったため、どうも行けそうにもない。中国の国営放送では、産經新聞の世論調査で日本人の80%が竹島と尖閣諸島問題で強硬策を望んでいると伝え、安倍の人気が高まっていると伝えているが、本当ならとても不幸なことだ。10万人か30万人かは別として、少なく見積もっても数万人の中国人がこの地で日本軍に虐殺されたのはまぎれもない事実であり、政治的な道具に使われていることを別としても見ておきたかった。

 明日が最終日。研究発表以外何も用意されていない学会だが、一応半日の市内ツアーが予定されている。次回の国際学会は2014年9月にブルガリアのソフィアに決まった。東ヨーロッパの人たちが力をつけてきて学会をやりたがっているのが印象的だった。もう日本には誰も期待していないようなので、それは助かるのだが…。


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